拾い恋(もの)は、偶然か?




「んで、これも別方面から聞いたんだけど。」

「いったいどこ方面ですか。」



鳴海先輩は、顔が広いせいか、こうして噂話も拾ってくる。実際私が所有している部長の情報も半分は鳴海先輩から取り寄せたものだ。



「まぁまぁ。んでね。どうやら部長が社長になれない何かがあるらしいのよ。」

「私が彼女ってこと以外なんのマイナス面もないあの人にですか?」

「……古蝶、自分を卑下しすぎ。」

「でも事実です。」

「まぁ、事実だね。」

「でしょ。」

「うん。」



部屋に静寂が訪れる。自分で言ったことなのになぜか落ち込んだ私。鳴海先輩も気まずそうだ。


「でも、古蝶は、うん、可愛いし。」

「その言い方余計引っ掛かります。」

「すんません。」

「いえ。」


歴代の元カノをずらりと並べても、私の顔面偏差値が劣るのは確実。しかも彼女たちは仕事も優秀で有名だった。だからこそ、別れてすぐに退職してしまうのを惜しまれたもの。私は、どうだろ。鳴海先輩だけは惜しんでくれるかも。


更に落ち込む私を前に、鳴海先輩は2杯目のビールを飲み干した。いくら気まずいからってペース早くないですか?




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