拾い恋(もの)は、偶然か?
「こ、古蝶、どうした?」
「なんでも、ありません。」
鳴海先輩に言われて初めて思った。部長は、あんなに素敵な人だけど、だからこその、悩みがあるんじゃないかって。
「部長って、結構単純な人なんです。」
「うん。仕事中なのにあんたを見てる目が完璧ハートだもんね。あれは色々隠せるようなタイプじゃないわ。」
「は?」
まさかの発言にびっくりしたけど、鳴海先輩の表情を見るとこれはいじり回されると判断。
「社長になると言われたら、そりゃそうだなと思います。だけど、そんな部長にも、色々あるんだとしたら……。」
「普通にスルー、か。」
舌打ちまでした鳴海先輩に気付かないふりをして、頬杖をついた。
「私が力になれればいいなって、思います。」
とても反省していた。私って結構、自分のことばかりで、部長のことなんて一つも考えていなかった気がする。部長の周りにいる女性に嫉妬して、自分を卑下して、勝手に解決して、開き直って。だけどその過程で私は、部長の変化に気付けていないのかもしれない。
部長がもし、社長の息子で、将来社長になるはずだったのに、なんらかの理由でそれがダメになったのだとしたら、きっと部長はショックに違いない。