拾い恋(もの)は、偶然か?



「支えられるものなら、支えたいです。」

「そこは、うん、難しいよね。」

「はい。」



現時点で、部長は私に頼ってきていないわけで、噂がいつから発生したのかは分からないけど、それが本当かも分からない。


実際、部長は毎日仕事してて、私といるときはデレデレしてる。その裏で、部長が悩んでいるのなら、相談してほしいと思う。


結果、どうかしたいと思うけど現状維持。


「そういえば先輩は?そろそろ結婚じゃないんですか?」


「え?あ、うん。」



話題を転換させてみるも、どうやら私は地雷を踏んでしまったらしい。



「鳴海先輩?」

「古蝶、あのさ……。」


いつもハキハキしてる鳴海先輩がなぜか、歯切れが悪くて。目は泳いで、なんだか忙しない。なにかを言いかけた先輩は、また俯いて。そんな先輩も、ほんとに珍しい。


確か先輩は、長く付き合ってる彼氏さんがいるはず。うまくいってないのかな?


この瞬間は、そう思ってた。


「あの、さ。」


再び上げられたその目を見るまでは。



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