拾い恋(もの)は、偶然か?
「それで、どうするんですか?」
とりあえず助手席に乗り込んだ。ああ、なんかいいよね。助手席に座れるなんてなんて彼女らしいんでしょ。
「とりあえず腹が減ったな。どっか食いに行くか。翔吾のおごりで。」
「なんで奢らなくちゃいけないんだ。」
「そりゃ、迷惑料だろ。」
「今迷惑かけてんのは聡士さんでしょ。」
なんだか新鮮だな。プライベートの2人ってこういう感じなんだ。翔吾さんも言葉ももちろんだけど態度も砕けてる感じだし。
くそ、少し妬いてしまう。
「古蝶。」
さっき本屋でそういうコーナーにいたせいか、本当に親友なだけなのか?と思えなくもない。
「古蝶。」
でも残念ながら、私と翔吾さんより翔吾さんと松田部長の方がお似合いに見える。
「こ、」
くそー。私が彼女なのに!
「音。」
「はい?」
「チッ、なんで翔吾には即答なんだよ。」
な、なぜ私は松田部長に睨まれてるの?
タバコを携帯灰皿でもみ消し窓を閉めた松田部長は、もう一度舌打ちを零して運転席を叩いた。
「お前の女、教育しとけよ。」
「ははっ、教育するところなんてないですよ。」
お前の女。いい響き。