拾い恋(もの)は、偶然か?
「いい年の男を置き去りにして、親と彼女で勝手に決めてるわけでしょ。社長は干渉しすぎだし、私は翔吾さんの気持ちを考えてない。そんなこと、私が彼をバカにしてるか存在自体忘れてるようなものでしょ。」
黙り込む衛。この人はずっと親に干渉されてきたような人生だったのかもしれない。さっきの口調からして、親の言うことは絶対と思っていそうだし、父親がすることならそれがどんなに非常識だろうがありだと認識していそう。
ある意味、可哀そうなんだろうけど。
それによって巻き込まれる周りの方が可哀そうだ。
「私は、翔吾さんが一番なの。翔吾さんが私が嫌で別れるって言うんなら受け入れるけど、親に言われたとか、あんたに乗り換えるとかありえないから。」
一気にしゃべったからのどが渇いた。衛がぼーっとしてるのをいいことに、近くにあったメニューを見る。
「ここ、衛の奢りでしょ?」
「は?」
「無理矢理連れてきたのに奢らないとかないよね?奢りでしょ?」
前のめりにそういえば、私の笑顔に押されたのか衛が小さく頷いた。
「すみませーん。」
「はい、少々おまちください!」
さて、私から話すことはもうないから。美味しいものくらい食べないとやってらんない。