拾い恋(もの)は、偶然か?




「結局さ、衛はなにがしたいの?」

「あ?」


ところせましと並べられている料理。私が遠慮なく頼んだものだ。今まさに、ドリアを頬張ろうとしていた衛の間抜け顔をジッと見ていると、やっぱり兄弟だからかどこか似たところはあるなと思う。

ドリアを口に入れず、衛はスプーンを持ったまま苦笑いを溢した。


「この間、若菜が。」

「誰?」

「はぁ?今の俺の女だろ!」


今の衛の彼女、ということは。

「ああ、松崎さんね。」

「お前、親友じゃないのかよ?」


おいおい、私はいつからあの人の親友になったんだい?

「それで?」

視線でなにか訴えかけて来る衛。分かるけどごめん、色々めんどくさそうだから親友云々はスルーさせてほしい。


彼氏なら、自分の彼女のめんどくささは理解してるだろうし。


……真面目に付き合ってればの話だけど。


「この間、本屋でお前と会ってたのを若菜の知り合いが見てたらしくて。」

「はいおかしい。会ってたんじゃなくて私が追っかけられてたでしたー。」


会ってたなんて誤解も甚だしい。BLコーナー行ってまで衛をまいた私が可哀想。



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