拾い恋(もの)は、偶然か?



「若菜の友達には会ってるように見えたんだよ。」


あからさまに苦い顔をしてみせる衛は、あの時私に逃げられた時のことを思い出しているのかもしれない。バカめ、ざまあみろだ。私がいないと気付いた時のこいつの間抜け顔を拝んでやりたかったくらいだわ。


「それで?」

「死ぬほどキレられた。」


肩を落とす衛。なるほど、この間の社長問題の時の松崎さんの意地悪加減の意味がようやく理解できた。

……いや、あれが素かもしれないけど。


どちらにしろ、わざわざそれを私に問い詰めることはない自体、どうやら私はあの人に信頼されているらしい。


くそー、ちょっと嬉しいぞ。



それにしても。少し落ち込んでいる様子の衛。さっきまであいつは遊びだのなんだの言ってませんでしたっけ?

どうやら松崎さんは衛のハートをがっちりと掴んでくれているようで。


この調子でよろしくお願いします。



「それと私となんの関係があるの?」

「え?」


とりあえず、この間衛が私に悪さしたのが松崎さんにバレて怒られたのは分かったけど、それがどうしてこの場で2人でご飯を食べていることになるのか、さっぱり分からない。



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