拾い恋(もの)は、偶然か?




気まずそうに視線を外した衛。なんだかさっきからシュンとしちゃって。こういう可愛げも……。


「俺、将来社長じゃん?」

「その言い方、ものすごくバカっぽいからやめた方がいいよ。」

なかったので、とりあえずガツンと教えてやる。衛の口が真一文字になったから、どうやら分かってくれたと解釈。

社長の様子じゃ将来うちの会社を継ぐのは衛なんだろうけど、ちょっと"ボンボン感"が強くてこっちが恥ずかしくなる。


「その将来の社長さんがなんて?」


でも少し反省。いちいちはっきり突っ込んでたら衛がいちいち不機嫌になるから会話が成り立たない。


こういうとこも少し、翔吾さんに似てる。あの人の方がもう少しスルースキルを持ってる感じだけど。


しかも社内メールもやめない頑固さもあるんだよね。やだ可愛い。


「おい。」

「ん?」

「今、兄貴のこと考えてたろ。」

「そうですけどなにか。」

「即答かよ。」


舌打ちまでしてみせた衛は、失礼にも大きくため息を吐いたあと、ドリアを勢いよく口にかきこんで、むせた。


「あつっ、ごほ!ごほ!」

「バカじゃないの?」


こいつ、ほんとに将来社長になれるんでしょうね?ほんとに心配で仕方ない。



< 218 / 288 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop