拾い恋(もの)は、偶然か?




確かに偉そうかもしれない。だけどすっごく微力ではあるけど、私だって社長を支えている一人だ。その将来支えるべき相手が目の前の彼に交代したとしても、私は変わらず支え続けるだろう。


会社って、人であって、その集合体をまとめる社長は、人の心が分かる人であってほしい。私はそう思う。


「俺はさ。」

「うん。」


いつの間にか、私も衛も、普通に話してるような気がする。それは目の前のごちそうのおかげということにしよう。だって私は、できれば衛とは仲良くしたくはないから。


「俺は、子供ができるってとこでしか兄貴に勝ったことがないんだ。」


よくある話なのかもしれない。優秀な兄をもつ弟には。


本当は、比べることもおかしい話。兄弟はそれぞれ違う人間で、環境が同じだとしても優劣は当たり前に存在する。

だけどなんでだろう、兄弟だからこそ、血が繋がってるからこそ、負けたくない、そう思ってしまう。

特に、弟。ううん、下の子供は、お兄ちゃんやお姉ちゃんに対抗意識をもってしまうもの。


私も、そうだったから。


「俺がなにやっても兄貴は顔色一つ変えないんだ。女を奪ってやってもすぐ次に行きやがるし。」

「うん。空耳かな?」


今ものすごく聞きたくない翔吾さんの過去が聞こえたような?


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