拾い恋(もの)は、偶然か?
「……何してるんだ?」
その低い声に、目を合わせた私と衛は同時に顔を向けた。
「わ、若菜!」
「翔吾さん?」
そこには、不機嫌丸出しの翔吾さんと、その横で同じく腕を組む松崎さんが。
「仕事終わったんですか?」
そう聞くと、眉を上げた翔吾さんは小さく笑って頷いた。その横では……。
「浮気はダメでしょう?何度言ったら分かるのかな。」
「わ、若菜、これは違うくて、いや、ほんとに!俺を信じろよ!」
「あらー、私のことは遊びだって言ってるらしいじゃない?それって浮気よりも傷つくわー。」
「誰だ!そんなことを言ったのは!俺が殴ってやるから!な?」
痴話喧嘩が勃発。
「衛。アイスティー。」
「よし。ちょっと!」
「はいいらっしゃいませー。」
衛の座っていた席に座った松崎さんが、握ったフォークの先を魔法をかけるように動かせば、素早く動いた衛がアイスティーを注文する。
「翔吾さんは?」
「俺?」
とりあえず、と思ったのか、私の隣に座った翔吾さんに聞くと、苦笑いを零して小さく「コーヒー。」とつぶやいた。