拾い恋(もの)は、偶然か?



謎の、沈黙。


腕を組んでアイスティーを飲む松崎さん。そんな彼女をチラチラ見ながら怯えている衛。翔吾さんは優雅にコーヒーを飲んでいるし。

どういうこと?これ。


「ちょっと、こんな時に食べるのやめなさいよ!」

「え?」


いやそりゃ食べるでしょ。


「冷えるし。」

「っっ、そういう問題じゃなくない?」


松崎さんの機嫌がやたら悪い。まさか私と衛の仲を疑ってるわけじゃあるまいし。


眉間に皺を寄せて私を睨みつけるさまは、美人なだけあってやたら迫力があって怖い。私からのアクションを望めないと思ったのか、深いため息を吐いた松崎さんはギロリと照準を衛に合わせた。


それだけで衛の肩がはねる。


「なんで2人きりで会ってるのかしら。今日は大学の飲み会で遅いんじゃなかった?」

「うぐ。」


ぐうの音も出ないというけど、これの場合ぐうの音が出たのか。衛って、面白いほど単純にできてるよね。ある意味これは素直と受け取るのもありなのかもしれない。


「これっ、これ、には、訳が。」


そう言いながらも私をチラチラチラチラ。お前、助けろよ!と言われているようで腹が立つ。


いやいや、私も連れてこられた方だし。なんで会ってるかって?それも結局はっきりしてないし。



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