拾い恋(もの)は、偶然か?
「はぁ。」
深いため息をついた翔吾さんの表情が一気に疲れたものに変わる。さっきまでベッドの上で疲れることはしていたけど、翔吾さんの機嫌は最高潮に良かったはずだ。
でもどうやら、節目節目で、というか、なにかとこうやってストレスをかけてくるのは、翔吾さんの家族の得意技らしい。
このままずっと振り回されて生きていくんだろうか。
それって必要なもの?
家族に迷惑をかけられたり、こっちも迷惑かけちゃったり、それは家族だから乗り越えられる必然的なもの。
だけどこれは、家族として必要な"迷惑"なのかは、はなはだ疑問が残る。
「帰ってください。」
『え、でも。』
「迷惑です。」
翔吾さんははっきりとした態度を示している。だけど画面に広がる綺麗な顔は、なんだか自信に溢れていた。
『私が司馬家に必要なことは、お分かりなはずですが。』
「っっ、」
まるで自分を選ばないわけはないだろうとばかりに、その目はまっすぐに画面越しの翔吾さんを見つめている。
いや、多分、その隣にいるはずの私にも訴えかけているのだと思う。