拾い恋(もの)は、偶然か?
「あなたは本気で翔吾さんを取り戻しにきたわけじゃないですよね?」
私の指摘に、明日香さんは眉一つ動かさず私を見つめているだけ。そんな彼女を私はまっすぐに見つめ続ける。そして翔吾さんは私の髪をいじりながら明日香さんを振り返る。でもすぐ興味を失ったのか、また私を見てにっこり笑った。
……なにこの画。
明日香さんが小さくため息を吐いた。そしてその顔にようやく、人らしさが見えている気がする。
「ほんとに、変わった人と付き合ってますね。」
「やりませんよ。」
「ふふ、ほんとに欲しくなってきたわ。」
艶のある視線がゆっくりと私を見る。なんだろう、身の危険を感じる、ような?
「ダメです。」
その視線から私を守るように、翔吾さんの後頭部が出現した。それでも、チラチラ感じる視線。なんだか熱っぽいような、うん。気のせいだよね?
「こういうのはどうでしょう?その子を私の愛人にしますから、あなたは私と結婚するの。」
突拍子もないその提案に、開いた口が塞がらない。いやいやいやいや、怖い。怖いんだけど。
「無理に決まってるだろう。」
信じたくない私とは対照的に、がっちり本気だと認めてしまっている翔吾さんは威嚇する。