拾い恋(もの)は、偶然か?
「まさか、まさか、ですよ?えー。」
「ふふ。」
面と向かって聞くのもどうかと思って次ぐ言葉が出ない私を見て楽しそうに笑う明日香さん。多分、そういうこと、なんだろうけど。
「……それで、なんで翔吾さんの婚約者に?」
腑に落ちない。選択肢としては、両方イケるということもありえるけど、こんな超絶スーパーイケメンな翔吾さんを前に、彼女からは何も感じられなかった。
私は、まぁ、そこそこ、いや、普通には、可愛いし。翔吾さんも特殊ではあるけど私が大好きだし。なんで私だけ?とは思うけど、明日香さんも特殊だってことは十分、あり得るし。
どこか自分がそれはねーだろと思うのに気づかないふりをする。
明日香さんが私の質問の意味をどれだけ理解しているのかは分からないけど、からかうように笑っていた彼女の顔から一切の感情が抜け落ちたことで、ある程度伝わったのだと解釈した。
「私ね、女性しか愛せないのよ。」
小さくため息を吐いた明日香さん。コーヒーをもう一口飲んで頬杖をついた。
「気が付いたのは小学校高学年くらいかしら。同じクラスの女の子を好きになってね。だけどそれが"おかしい"と気づいていたから、告白もできなかった。」