拾い恋(もの)は、偶然か?




「あーあ。」


やっぱり。


「どしたの。」

「いや、なんか、うん、なんでもありません。」



こういうことになると、ある程度予想はついていた。


「先輩。」

「はん?」

「私、仕事頑張ります。」


でも困ったことに、松崎さんが急な行動に出たことは私に少なからず影響を与えた。なんだこら。私だって司馬部長に釣り合ってないって分かっとるわ!

だとしても好きなんだもん。告白されたらそりゃ付き合うでしょ!


……かなり抵抗したけど、司馬部長の魔力には敵わなかったのよ。貴女も元カノなら分かるでしょ!

と、叫びたい。


「なにほんと。どうしたの?」

「え?あーそれは、昼休みに。」


とにかく、私は仕事を頑張るだけ。あんなのが彼女?なんて陰口を叩かれるのは部長なんだから、せめて普通レベルの仕事くらいはこなさなければ。


首を傾げる鳴海先輩は、デスクのすみにあるお菓子を頬張る。ものすごく幸せそう。だけどこう見えて、鳴海先輩はとても仕事ができる方だ。


せめて、敬愛する鳴海先輩レベルまでは追い付きたい。


溜息を吐いてパソコンにくらいついた。




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