拾い恋(もの)は、偶然か?




「………は?」

「ですから、司馬部長とお付き合いすることになりました。」

「へ?」

「もう、噂にはなってるみたいですけど、先輩は何も聞いてませんか?」



お昼休み。食堂で先輩に、司馬部長と付き合っていることを打ち明けた。

私の質問に、茫然と口を開けたまま先輩は首を横に振る。そりゃそうか、付き合いだしたのはつい昨日の話。すでに知ってて牽制までしてくる松崎若菜の行動の早さの方が異常なんだ。



「どどどどど、」

「先輩、ちょっと驚きすぎだと思います。」



そりゃ私も信じられないけどさ、そんなに驚かなくてもよくない?でも、自分でもまだ信じられないくらいなのだから、先輩が信じられないのも分かる気がする。



「ここ、いい?」

「え?」


肩をポンと叩かれてフイに見上げると。あ、直視しちゃった。もはやかっこよすぎて顔面凶器と化している司馬部長が、爽やかな笑顔で立っていた。


手にはお盆。メニューは親子丼。なんか可愛いんですけど。


もはや私の返事を待たず、隣に腰掛けた司馬部長。周りがざわついたのは言うまでもない。




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