拾い恋(もの)は、偶然か?
「それはまぁ、好き、だからです。」
言って恥ずかしくなって俯いた。10代の頃でもこんなに面と向かって好きと言ったことなんてない。大人になると雰囲気とか、フィーリングで相手を選ぶことが多くなる。
あ、いい感じだから、とか、この人といると落ち着くな、とか。
それが恋愛じゃないと言われればそれまでなのかもしれない。だけど、多くの人が色々なシチュエーションで出逢いを果たし、他とは違うなにかをお互いに感じたからお付き合いという関係に発展しているんだと思う。
好きです。付き合ってください。
そんな言葉を声を大にして言う年齢は当に過ぎ、付き合うという言葉を気軽に使うようになった。
それらを繰り返し、泣いたり笑ったり。我ながら中途半端なことをしていると思う。だけど、私ももう25歳だ。そんな気軽な付き合いは減っていき、恋愛というものにもっと重みを感じてきた。
好きと感じることは大事。でもそれ以上に、結婚を視野に入れた恋愛はもっと大事なのだ。
今私は部長と結婚なんて考えられない。
将来の社長と結婚なんて到底無理な話だからだ。
いずれ私と部長は離れ離れになって、この人はどこぞの良いお嬢さんに支えられて会社を支えていく存在になるんだろう。
そう、思ってるのに。
なぜ私は、10代の時みたいに、素直に感情に従うような恋をしているんだろう?