拾い恋(もの)は、偶然か?




「なんですかー?仲良くしてくださいよー?」


とりあえず目の前の喧嘩より、目の前の親子丼だ。

あー美味しそう。これがあの部長が食べていたと思うと余計にだ。テレビでアイドルとかが食べ物のCMをするのはそのせいだよね。すっごく美味しそうに見えるあれ。



「いただきまーす。」

「ちょっと。」

「古蝶!」


呆れている2人を見ながら一口。同じような顔しちゃって。結構似てるなー、この2人。


口内に広がる親子丼の味は、思ったより美味しくて。自分で少々かけた一味がピリリと効いて、素敵なアクセントになっている。


「それで?何か用ですか?」

「……貴女、昨日のこともう忘れたの?」


完全に馬鹿扱いされてる。だけどしょうがないんだよね。


「昨日の部長とのデートで嫌なことは全て忘れちゃいました。」

「なかなか喧嘩売ってるわよね?」



とりあえずにっこり笑ってみせる。呆れたようにこちらを見る松崎さんに昨日ほどの迫力がなかったから少し気分が楽になったからなのかもしれない。



それ以上に、昨日の部長とのデートが素敵すぎて。


「うふふふふ。」

「なにこの子、怖い。」

「私も同意する。」


"気の合う"2人が揃って私を変な人を見る目で見てくる。やっぱり気が合うじゃない。


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