拾い恋(もの)は、偶然か?



「古蝶、あんたそれでいいの?」



鳴海先輩が顔をしかめてそう聞いてくる。我慢することないんだと、臨戦態勢で。


きっと私が今ツラいと言えば、鳴海先輩は爆発してくれるんだろう。凄く、心強い。



「いいんです。私が彼女なんで。」

「っっ、」


松崎さんが目も口も見開いてびっくりしてる。なによ、私だって言う時は言うんだから。


結婚するとか嘘吹き込んだ極悪人は誰だったっけ?悪質すぎてかなり頭に来てるんですけど。


「部長の今の彼女は、私なんで!」

「わざわざ言わなくても分かってるわよ!」

「あはは!」


大口を開けて言えばすっきり。耳をふさぐ松崎さんを追い詰めるのもすっきりしていいな。そんな私たちを見て、鳴海先輩が爆笑している。


この日からなぜか、松崎さんも加わって、私たちはよくお昼を一緒に食べるようになるんだけど。


「彼氏さんとお幸せに!私は幸せなので!」

「ほんとあり得ないあんた!」

「あはははは!」


なぜそんなことになったのか、この日のできごとからは一切計れない。


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