拾い恋(もの)は、偶然か?





「入ろうか。」

「え?」

「朝食、食べるんだろ?付き合うよ。」

「はぁ。」



いつもの営業スマイルじゃなく、とろけるような甘い笑顔。彼氏としての部長だ。今出るところだったのに、一緒に朝食に付き合ってくれるなんて。


「あ、私もご一緒しますー。」

「……。」


今度は空気読めない系女子に変貌した七瀬さんがいなければ、すっごい嬉しい展開だよね。



---、


「わ、美味しそうー。でもぉ、カロリーが高くて私には無理だなー。」

「……。」


そう言いながらも七瀬さんは、私が注文した朝食プレートの前でカシャリ。


「んー。」


首を傾げながらタップやスラッシュを繰り返しているのを見ると。どうやらSNSに上げている模様。それ食べてないですけど?カロリー高いのに乗せるの?


文章に迷う七瀬さんと同じく、七瀬さんの存在が不思議で首を傾げる私。



「音、食べないの?」

「……食べます。」


そして、優雅にアイスコーヒーを飲む部長は、そんな私をジッと見てニコニコしていた。


周りから見れば変な光景だと思う。七瀬さんにいたっては何も注文してないし。




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