拾い恋（もの）は、偶然か？

「あー、あの、すみま、せん？」

「……。」



黙り込んでしまった部長の寂しそうな目が、ここは謝るところなのか？と訴えかけてくる。うーん、これは、どう言うべきなのか。


「あのですね、嫉妬はもちろんしますよ。でも、それ以前の問題と、いうか。」

「え？」


小さく声を出した部長。スマートで、ジェントルマンで、とても素敵、なんだけど……。



「部長の方が、しそうにない、といいますか。」

「は？」


多分、分かっていないと思うんだけど……。



「もちろん、疑ってしまったり、嫉妬してしまうこともあるんですけど、部長を見ていると、そういう生臭い発想が出てこない、といいますか……。」

「……。」


心配にならないわけないんだけど、なんだろう、自分も部長とプラトニックな関係なせいか、部長からそういう性的な不適切さが想像できない。


「別にっ、男として見てないわけじゃないんですよ！」


黙り込む部長に、なぜか弁明してしまっている私。だけどこれは言っておかなければ。私は部長がきてくれるならこの貧相な体をいつでも差し出せるわけで。

だけどキスだけの清い関係が部長をドンドン神聖化していってしまっているのも事実だ。