あたしは人形じゃない…
「ここが俺んち…きたねぇけど…そのへん座って?」
「あっ…うん…」
なんか…男の子って感じだな…あたしの部屋と大違い…
1人キョロキョロしてるといきなり扉が空いた…
「あれ?悠鈴!何?彼女?よろしくねー!」
「え?あー…は…はい…。」
「彼女じゃねぇし…」
「何?だって悠鈴が女の子連れてくるなんて初めてじゃん!」
「うっせぇーな…これオレの姉貴…」
「あ…お邪魔してます…」
「いや…ここ俺んちだし…こいつ彼氏と喧嘩中で今居候してるわけ…」
「あ…なるほど…」
なんか私には分からない会話…
兄弟ってこうやって話すんだ…
いつもあたしの家ではめったに家族と話すことはないし…こんな馬鹿みたいな会話なんてしない…
せいぜい「はい」くらい…
「なんか食うか?」
「え?」
「大したもん作れねぇーけど…」
「そんな…大丈夫です…お邪魔してる身なのに…」
「遠慮するな…オムライスでいいか?」
「うん…?」
男の子が作る料理なんて初めてだ…
少しワクワクする…
この気持ちはそっと胸に秘めてお姉さんと会話をする…
「彼女じゃないんだ…」
「はい…」
「学校での悠鈴どう?」
「どうって…普通。ですか…ね?
あー。強いて言うなら頭がいい…ですね?」
「普通かー…てか学校行ってんだ?
なんか最近怪我しないなーって思ってたら…」
「怪我?!」
「うん…こいつ中学の時から毎日ケンカで…怪我なんてしょっちゅうしてくるの!
やめろってゆっても…向こうが悪いから!って」
ホントだったんだ…あの噂…
「でも最近喧嘩しなくなったの」
「え?」
「莉奈ちゃんのおかげかな?」
「え?あ…あたしですか?」
「うん!これからも悠鈴のことよろしくね?」
「あ!こ…こちらこそ…よろしくお願いします!」
噂の話がほんとだったのはびっくりだけど…
悠鈴くんがいい人なのはすごく分かった
始めても友達で…よかったかも…