あたしは人形じゃない…






刑事さんに聞いたよ…親父らが急ブレーキをかけたおかげで助かった子供の名前…





「松田翔真…

俺はそいつを探しまくった…俺らの車にはドライブレコーダーがついてあったんだ…その映像には明らかにわざと飛び出してくるガキと…車が衝突した時に笑ってる姿があった…

俺はどうしてもそいつが許せなくて…探してやっと見つけた…」





なのに…あの時のことを言っても

「俺は悪くない…なら引けばよかっただろ…」そう言われた…




そいつは…
小学生の頃から悪さばかりしてるやつらしい…



「窃盗…などを繰り返してたらしい…
あいつの遊びのために俺の親は死んだ…
俺はケンカがしたくてしてる訳じゃない…

あいつが俺のことを馬鹿にするから…」


「バカにされたからって喧嘩していいわけないよ!でも…自分の家族がバカにされたら…許せないかもしれない…」



「それから…俺は喧嘩をするようになった…何故か…あのクソに勝ってしまって今では有名なヤンキーだなんて言われてるけど…
俺はむやみやたらに手は出さない…

ただ大切な人が大切なものが奪われるなら喧嘩をする…
俺も縛られてたときは…何くそって思ってた…みんなと同じようにしたい気持ちも分かる…だからお前を助けたい…

あと…自由になりたい気持ちもわかるけど…親がいることは当たり前じゃない…いついなくなるか分からない…本当の気持ちを伝えないままいても人生楽しくないし。後で後悔する…ちゃんと親と話し合えよ…」



「ありがとう…話してくれて…
確かにまだ悠鈴くんの事は怖い…でもいい人だって事は分かったし…悩んでるのはあたしだけじゃないってことも分かった…
これからも仲良くしようね?」


「あぁ。」


「ちゃんとママに謝ってみる!
できるか分からないけど…」


「おぅ!また明日な!」


「ありがとう!」



帰ろうとした時…不意に思った…

なんで悠鈴くんは話してくれたんだろう…どうしてあたしもこんなこと言ったんだろう…



その時…


「莉奈…
俺がちゃんと守ってやる…俺が助けてやる…」


そう言って抱きしめられた…




ん?


なんか胸がキューって…




何故か安心する…



「悠鈴くん…?」


振り返った時…



唇に…触れた…。





「…ごめん…じゃぁな…」


「ん…うん…ま…またね…」







なに?






もしかして…



キ…









キス!!!???




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