君と、世界が変わる瞬間に。









その後は、またジェットコースターに乗ったり、お化け屋敷に行ったり、たくさんの乗り物に乗った。…そして、最後は観覧車。


「夕日が見えるね」


「そうやな」


夕凪君と出会ってから、私は世界を見ることが多くなった。…なんで風景とかじゃなくて、世界って言い方をしたのか。きっとそれは私が風景という言葉で表せない何かを見ていたいから。


「…ねぇ、夕凪君」


「なんや?」


「私、夕凪君の見てる世界が見たい」


外を見ながらポツリとつぶやいた。…夕凪君の顔は見てないからどんな顔しているのかわからない。でもきっと彼はこう言う。


「他人と同じ世界なんて、見られへんよ」


ふふっ、やっぱりそう言うと思った。


「同じ景色を見よっても、感じ方が違う、きっと思うことも違う。だから楽しい」


夕凪君みたいに考えている人なんて少ない。みんな現実的な言葉で現実的な意味を求めて生きている。

私もその1人だと思う。

だからこそ、自分とは違う考えの彼に近づいてみたい。…その世界を私にも見せて欲しい。…自分の世界を、見てみたい。


「空が、紅い…」


「うん。…この景色、好きだな」


何かを物語っているような、そんな今のこの景色が。
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