君と、世界が変わる瞬間に。
きっと私は彼の世界に憧れていた
「おはよう、夕凪君」
彼についてわかったこと。…それは彼は朝が早いってこと。誰よりも早く来て、屋上に来ているということ。
理由は、もちろん…「写真を撮るためや!」らしい。
私は電車通学で、教室に半分くらいの生徒が来たくらいに私もつく。
けれど、最近は…1本早い電車に乗って屋上に来ていた。
「おはよぉさんっ」
彼は私が毎朝ここに来ても何も言わず笑顔で挨拶してくれた。
「あれ?…夕凪君、なんで傘?」
こんなに晴れているのに、傘を持っているのはあまりにも不自然。
「今日雨降るんよ」
「え?天気予報じゃ晴れって…」
夕凪君は何も言わずに天をさした。…天、と言うには語弊があったかもしれない。斜め上、とでも言っておこう。
「虹…?」
よく見ないとわからないくらいの薄い虹。
「雨降ってないのに虹?…それよりも、なんで虹で雨がふるってわかるの?」
「朝の虹は太陽がある東からの光によって、西にできるって言われてるんや。虹が見えるのは、雨が降ったからって思われがちやけど、正確に言えば湿度が高いから見えるんよ」
「へぇ…」
知らなかった。虹は雨が降ったらできるって言うのは、虹ができる理由にはならないんだなぁ…。
「ま、傘もってきてたんのは、虹だけやないけどな」
「え?まだなにかあるの?」
「つばめが低く飛んどったからやな」
つばめ?つばめが低く飛ぶことに、雨が降るのとなにか関係があるの?