君と、世界が変わる瞬間に。
「ところでさ、今日は行かなくて良かったの?屋上」
「うん、行こうかと思ったんだけどね。瑠璃に直接言いたくて今日は行かないことにしたんだ」
「うはっ!嬉しいっ!…でもっ!明日からはちゃんと行きなよ?」
夕凪君の姿を思い出しながら「うん」と頷けば、瑠璃は「空が可愛いっ!」ときゅるるんとした感じになった。
「はーぁ、私も好きな人ほしい~」
「瑠璃…いないんだ。彼氏も…ってことだよね」
そういえば瑠璃のこういう話をちゃんと聞くの初めて…かな?
ちょっと…いやかなり気になる。瑠璃は可愛い人当たりいいし、優しいし、気配り上手だし。モテたんじゃないかな。
「へへ、高校入る時に別れちゃったんだ~っ。彼氏がここの高校落ちちゃって、別の学校ならやっていけないって」
「えっ」
「でも、私も引き留めようとはしなかったし、そこまでの関係だったってことかな~」
はぁ~っ、なかなか経験あるひとの言うことは違うというか。
「私もドキドキするような恋がしたいぃ」
「瑠璃なら絶対いい人見つかるよ」
「うぅ…私もう空と結婚する!!」
瑠璃のその一言が意外と大きかったみたいで、近くの席の杏奈ちゃんに「仲いいねぇ~」と笑われた。
「…まっ、出会いを求めて合コンでも行こうかなっ。」
「合コン?」
「合コン知らないの?!」
合コン…。なんだろっ。
「男女が出会いを求める場だよ!お互いの幹事がメンバーを揃えて、みんなで盛り上がるんだよ!」
「へぇ~」
そんなものがこの世にあるのか。…人って、知らない人とあっても気軽に話せてすごいな。…まぁ私も人なんだけど、私はできない方の人だから。
「…うーん。…空、行ってみる?」
「え、何に?」
「だから、合コン」
合コンに、私が、行く?
「無理無理!!…え、遠慮しておきますっ!」
「えー。…空なら絶対モテるのにぃ。仕方ない。今回は私だけ行こっと」
良かった。実は瑠璃は諦め悪いから、行かないと行けないことになったらどうしようかと…。
ーガラガラー
「雨野ー!ちょっといいかぁ」
「あ、はいっ」