君と、世界が変わる瞬間に。
ーピロンー
メール?…あ、瑠璃から!待たせてたんだったっ!!
《来ないってことは夕凪君居たんだねぇ?じゃあ私はもう帰ってるから、2人で帰ってきなよ!》
最後にニヤニヤの絵文字がついていて、瑠璃の魂胆がよくわかった。…でも、感謝せずにはいられない。
《ありがとう瑠璃!!今度お礼するからっ!》
「どないした?」
「ううん!…ねぇ夕凪君、途中まで…一緒に……」
あれ?…な、なんか急に恥ずかしくなった。…好きって気づく前はこんなことなかったのに。
「ん?…暗くなるで?…行こ」
「あ、うんっ」
このまま一緒に帰れるんだ…っ!
「そういえば、雨野さんなんでこないな時間まで学校におったん?」
「ちょっと生徒会の資料まとめてて」
「生徒会?…雨野さん生徒会なん?!」
「違うよっ!!…生徒会が忙しくててがまわらないみたいで…古田先生が手伝ってくれないかって」
「担任はまた雨野さんに頼み事かいな。」
前はそう言ってて、それが私の存在意義だから関係ないって思ってたけど、今じゃ…私のことを気にしてくれることがすごく嬉しい。
「次からは俺も手伝うかさかい、言いや?」
「え?」
「多い方がええやろ?」
ああ…まただ。…胸がキュンッとはねる。
「夕凪君って、優しいよね」
「そんなことないで~」
ケラケラと笑いながらそう言った。…けれど、本当に夕凪君は優しいと思う。
「…んでも、優しいのは多分…雨野さんにだけやと思う」
…私に…だけ?
自惚れるわけじゃない。…でも、彼も少しは私のことを特別に思ってくれるのかなって思う。
鼓動が速くなって、このまま心臓が破裂するんじゃないかって思うくらいドキドキしてて。今私多分…幸せだ。