君と、世界が変わる瞬間に。




「つばめが餌とする虫は、湿度が高いと高く飛ばない。だから、つばめはそういうときに高いところに餌がないとわかっとるんや」


「知らなかった…。夕凪君って、空のことだけじゃなくて色々知ってるんだ?」


「いや、雨も空関係やろ?…だから覚えた」


なるほどな。…つまり、そういう知識は全部空に繋がっているわけか…。


「ちゅーか、俺よりも知ってそうやけどな」


私は主語のない彼の言葉に「え?」と聞き返す。それが私についてだということに気づいたのは聞き返したあとだった。


「雨野…やろ?」


あ…初めて……初めて彼が私の名前を呼んでくれた。っていっても、苗字だけどね。


「…私そういう知識には疎くて」


なんて言うけど、本当は必要ない知識を知る必要はないと…自分から拒否していたんだ。


「まぁ知らんでも損はせぇへんしなっ」


そんな私の心を読んだかのように、そう言った。


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