君と、世界が変わる瞬間に。

過去はいつも私に付きまとう












「じゃ、またね!空」


「うん!」


放課後、瑠璃はこれから合コンだと言うのできっちりめかしこんで教室を出ていった。…正直、私が男ならあんな可愛い瑠璃を好きにならないわけないので、ほんと心配。


「あれっ…夕凪君…まだ寝てる…」


机にうつ伏せてスヤスヤと眠っている彼に気づいておらず誰も起こそうとしなかったので、私はトントンっと背中を叩いてみることにした。


「夕凪君…もう放課後だよ?」


「…兄ちゃん…まだ……寝かせて…」


「夕凪君っ、ここ学校だよ!」


少し声量をあげたら、夕凪君はムクリと起きた。


「……雨野さん…おはよぉ…」


「おはようじゃないよ!放課後になったんだから起きないと…」


「あ!…ははっ、かんにんな。…なんか、雨野さんに起こされること多いなぁ」


そういえば、いつか、屋上でも起こしたっけ?


「んん~っ!…ふぅ。……帰るとするかぁ~」


…言葉にしたわけじゃない。約束したわけでもない。でもきまって、こういう時は2人で帰った。


「あ、ここで大丈夫!…ありがとう」


「ええよ、ほなまた明日!」


手を振って駅の改札を出た。

夕凪君といると、時間があっという間。1秒1秒を大切にしたいのに…その1秒がドキドキとふわふわで私の記憶に溶けていく。

覚えていたいのに、忘れていくような…そんな気分。









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