君と、世界が変わる瞬間に。
「今日は2人でゲームセンターに行く予定なんだぁ!…明日もね~」
「え、明日も会うの?!」
昨日あって、今日、明日一緒に遊ぶのか…。
「でねっ、土曜日は11時に水族館であうことになってるから!…向こうも友達つれてくるみたいだから!」
「うん…」
はぁぁぁぁ…。
…OKしてしまったし、仕方なく行くけど…あんまり乗り気じゃないんだよなぁ。……まぁ瑠璃の好きな人は見たいし、断る気もないけどさ。
「雨野ー!」
はぁ、こんな時に誰……って、古田先生…?
「ちょっと頼みがあるんだが職員室に来てくれないか?!」
「あ、はい!…ごめん瑠璃。話の途中で…」
「ううん!言いたいことはあらかた言ったし!…手伝おうか?」
「大丈夫。じゃあ行ってくるね」
私はそれだけ言って、古田先生の待つ職員室へ向かった。
「これを2年9組に持って行ってくれないか?」
ダンボール?
「悪いなっ!今から朝の職員会議でな。…本当は昨日持っていくはずだったんだか持っていけなくて…」
「いえ、かまわないんですけど。…確か9組って…」
「あぁ、そうか。普通は面識ないし、行かないもんな。…ほれ、これ。渡り廊下のカギだ」
「はい。じゃあ行ってきます」
うちの学校は校舎が2つある。普通科や英語科、商業科、情報処理科などの基本的な進学クラスがあるA棟。農業科や水産科、機械科、建築科などの専門的なクラスはB棟。
A棟の生徒とB棟の生徒は会うことはほぼない。体育祭や文化祭といった行事も一緒にやらないし、生徒からするとただの隣の学校みたいな意識がある。
もし、A棟からB棟を行き来する場合は渡り廊下の鍵が必要で、ここを渡ればすぐにB棟へ行ける。
ーガチャー
「わ…。…すご…」
渡り廊下を渡りきり、B棟に入ると、A棟とは違った感じがした。
ギギギギィという音がしたり、騒がしい声がしたり。
って、関心してる場合じゃない。このダンボールを2年9組に持っていかないと。
えーっと、2年…9組…は……、ここだ。…でも、知らない人ばかりで緊張する。
「…誰かに用?」
深呼吸する暇もなく声をかけられダンボールを落としそうになった。
「え、えっと…これを古田先生が9組に…って」
「あ、俺クラスここだから。受け取るよっ」
「うん、ありがとう」
よし、渡したしこれで用はすんだな!
「…ねぇひとつ聞いてもいい?」
帰ろうとしたら、ぎゅっと腕を掴まれた。
「…雨野?」
「…え…?」
なんでこの人が私の名前を知ってるの?私こっち側に来たの初めてだし会ったことなんてないと思うけど…
「…ここじゃあれだし……向こう、いい?」
そんなに離れてないし、それになんで私の名前を知ってるのかも知りたい。
「うん」