君と、世界が変わる瞬間に。
空が淡く汚れて
「空っ1時間目保健室って聞いたけど大丈夫?!」
「うん大丈夫」
「…よかったぁ……。…そいえば古田先生に聞いたんだけど、B棟行ったんだって?」
「うん」
そういうと瑠璃は「どうだった?!」と目を輝かせた。「そんなに変わらないよ」と伝え、席に座り、携帯を開く。
《あいつは今でも変わってない》
やっぱりそうだよね。…加藤諒太が変わってるなんて。
身体中にうす黒いものが広がった。この感情はなんだろう。
「…雨野さん?」
「へ?!」
「どないした?携帯ギュッと握りしめて」
夕凪君の顔を見たら黒い感情がすこし和らいだ。
「ううん、なんでもないっ」
「そうか。…あ、そういえば聞いたで!兄貴の店でバイトするて」
「うん!」
「兄貴、自分の店持つならいいスタッフ集めるって言うてたから、雨野さんすごいな」
そうだったんだ…期待に応えられるように頑張らないと。
「無理はせぇへんようにな」
「うん。…でも、晴人さんが直々に誘ってくれたしできる限りのことはやるよ!」
「…兄貴は名前呼びなんやな……」
「え?」
「俺の方が仲ええっちゅうのに、苗字呼びなんやで?あんまりやっ!」
と、夕凪君は泣き真似をした。
「えっえっ…」
それって、名前で呼んでってことじゃないよね?!
「ぷっ…ははは!冗談やって!ほんま雨野さんっておもろいな!」
な、なんだ…。びっくりしたぁ。名前呼びなんて私にはまだレベルが高いよ。
でも…夕凪君も私のこと苗字だし、″さん″付けだし…これって進展してないのかな…?