君と、世界が変わる瞬間に。
「ふぇっくしゅ!…」
思ったより寒いなぁ…
「…………え、夕凪君っ?!!」
急に夕凪君が背中を私の背中にピタッとくっつけたのだ。
「こうしたら暖かくてええやろ?」
確かにあったかいけど…背中にまわってる血液が沸騰しそう!!…全ての神経が背中に集中してる。
「…あったかい」
ドキッとする。…私の体温が夕凪君に伝わってるんだ。……そう考えると、すごくはずかしい…。なんだか最近ははずかしい事ばかりかもしれないっ。…でもその分…嬉しいこともあるんだよね。
「ゆ、夕凪君、ここで一緒に写真撮ろうよ!」
「おぉ!…ええなぁ!」
私はスマホを内側に向け、夕凪君が入るようにした。
「とるよー!………ってわぁっ!」
「うぉお!」
ボタンを押す前にうっかり私の手から落ちてしまった携帯は、夕凪君の手に乗っていた。
「あぶなぁ〜…ありがとう」
「ぶふっ、危なっかしいな雨野さん」
「そ、それよりも!今度こそとるよ!」
画面に私と夕凪君が映った時、なにか白いものが上から落ちてきた。
「え?」
「雪や!!」
夕凪君は自分のカメラをすぐさまもち、カシャカシャと撮りまくっていた。…今とってた最中なのに。と思いつつも、子供のようなキラキラした顔で写真を撮る彼に怒る気は全くない。…むしろ、この姿をずっと見ていたいくらい。
……あ!!
ーカシャー
「ん?なんや?」
「へへへ、たまに撮られてるお返し」
「ははっ、俺映してもええ写真にならんで〜」
もう、そんなことないのにっ。
私は携帯に映る夕凪君を見つめて、永久保存だなっと誓った。
「ふぇ…ふぇっくしょぉぉん!!!」
「そ、そいえば暗くなってきたし…少し寒いね」
「夕日が落ちたからやろな…。今日は帰ろーか」
うん、その方がいいだろう。風邪ひくといけないし。もし土曜日風邪ひいて行けなくなったら瑠璃に恨まれちゃうもん。夕凪君にだって1日でも多く会いたいし…。