君と、世界が変わる瞬間に。
「あれ?諒太君と空。もうふたり仲良くなったの?」
「まぁね。…瑠璃ちゃんも、ずいぶん颯と仲良くしてたね。……ちょっと妬いちゃう〜」
「いやっ、颯君水族館初めてって言うからっ!」
ーなんで私ここにいるんだろう。
「ほら、瑠璃ちゃん。行こう」
ーなんでこいつはここにいるんだろう。
「イルカショー、俺と見ようよ」
ーねぇ、私…
『雨野さん、頑張れや』
繰り返したくない!!
ーバシッ!!ー
「いって…」
「空?!」
私は瑠璃に触れていた加藤諒太の手を振り払った。
「私、あんたなんかに負けない」
「……ん、なんのこと?」
「…瑠璃、今から変なこと言うけど!!この男は信用しないほうがいいよ!!全部計算でやってる!!…この男は瑠璃を利用してるだけ!!…この男は……っ」
私はそこで言葉を切った。
「……なんで、そんな事言うの……?」
瑠璃の目に涙が溜まっていたからだ。
「…ひどいよ空ちゃん。……ほら瑠璃ちゃん。どこか落ち着ける場所に行こう?ね?」
瑠璃はコクンッと頷いた。
私はただたっている事しか出来なかった。2人が体を寄せあって歩いていくのを見ていることしか。
「……まさか、あいつの本性知る人がいるなんてね。……雨野空さん……だっけ?…だったらあいつに関わんない方が懸命だと思うけどね」
そういいながら、野村颯は瑠璃たちの方向とは別の方に歩いていった。