君と、世界が変わる瞬間に。
同じ空の下で
握手をしたら仲直り
ーガチャー
「さすがにまだ来てないか…」
土曜日、あの後はふたりとも落ち着いて晴人さんの帰りを待っていた。
ー…
『あれ?……もう大丈夫そう?』
『はい!…もしかして、夕凪君……健人君呼んでくれたのは晴人さんですか?』
『うん、俺より健人のほうがいいと思ってね』
『…っ。ありがとうございます…』
ー…
そんな感じであの場では夕凪君になにも話していない。しいていえば、瑠璃と喧嘩した…くらいには察したかもしれないけど。
それで月曜日の今日、朝とにかく夕凪君に会っておきたくてすごく早い時間に今日室よりも先に屋上に来てみたが、まだやって来ていないみたい。
「…景色が違う……か」
匂い、音、色。それだけで、世界は変わって見える。……夕凪君が転校してきた日にそう言ってたっけ?
私、今ならすこしだけわかるよ。
ーガチャー
「あ、早いな。雨野さん」
「夕凪君っ」
「また風邪ひかいんようにな」
「うん」
「……なんかあった?」
「…私、瑠璃と話してこようと思う。もしかしたら信じてくれるどころか目さえも合わせてくれないかもしれない。でも、仲直りしたい。…だから。……勇気をもらいたくて」
なんて、都合のいいこと言ってる。
「…ええよ。何したらええ?」
「勝手だってわかってる。でも、もし瑠璃に話を聞いてもらえることになったら…夕凪君にも聞いてほしい」
夕凪君には、知っていてほしい。
「……わかった。」
私の過去は全然すてきなものじゃない。……けれど、今は瑠璃や夕凪君と会えた。だから、過去を振り切って、未来をすてきなものに変えたい。
「ほな、行こか」
「うん」
見てて、私の世界。