君と、世界が変わる瞬間に。
「あれっ!後ろは雨野さんか〜。…よろしくな!」
「夕凪君。前なんだね…よろしくっ」
みんなが席を移動し終わってから、古田先生は「授業を始めるぞー」とみんなから反発の声を無視しながら授業が始まった。
ーカチカチー
シャーペンの先を押し出す。
ーボキッー
折れた芯が机の上を転がり、前に落ちた。…そのとき視界に入った彼はみんなが見ている方向とか逆……空を見ていた。
私は教科書で顔を隠しながらチラッと盗み見する。
あんまりにも楽しそうで。今にも写真を撮りたいんだろうな、なんてクスッと笑いながら考えていたら、彼の表情が一瞬だけ…悲しいものへと変わる。
え…?
と、思った時にはもう夕凪君は前を向いていた。
「おーい、雨野〜」
「あ、はい!」
授業が終わっても考えていた私のもとに、先生からのお呼びがかかった。
「もうすぐ、期末考査だろう?…転校してきた夕凪はついていくの大変だろうし、勉強を教えてやってくれないか?」
「はい、わかりました」
「頼むな」
「はい」