君と、世界が変わる瞬間に。
ー…
「お前暗いんだよ!!」
ードサッー
小学校6年生。
「……同じ空間にいると、俺まで腐りそう」
いじめがあった。
「きもー」
する側は加藤諒太。そして、される側は…
「やめてよっ、諒君……っ」
私だ。きっかけは覚えていない。きっと些細なことだった。……いや、もしかしたらこうなることが小さい頃から決まっていたのかもしれない。私が加藤諒太と幼なじみだから。
昔からなにかとちょっかいかけてきた加藤諒太はいわゆるガキ大将で、女子にはモテるし男子にはもてはやされる。クラスの中心人物だ。
「おーい、悠太。お前もやれよ」
「え、でもっ…」
「やれるよな?」
「うっ…ごめん、空ちゃん!」
ーバシャッー
ーギャハハハー
その時私に牛乳をかけたのが、確か五十嵐君だった。……彼のあの時の顔を覚えてはいない。けれど、怯えていた気がする。
「空、お前牛乳くせぇな!」
今にして思えば、まだあの頃は可愛いほうだったのかもしれない。…小学校を卒業して、中学校ち上がる。もちろん、ほとんどが同じ高校になる。当然のことながら幼なじみで家の近かった加藤諒太が同じ中学になることは必然であった。
ードサッー
「ーっ」
「まじいってぇ。どんクセぇんだよっ」
中学校では別の小学校から来た子達もいるから友達が出来ると思っていた。でも、それは加藤諒太によって阻まれた。入学早々、先生のいないところで、クラスのみんなにわかるように私をいじめた。
はじめの頃は小学生の頃とあまり変わらないようなこと。でも、少しずつエスカレートしていく。
「や、やめっ……」
「なぁ、空。お前ほんと可愛相だな」
「諒君やめてよ……!!」
「ッチ。……やれ」
「イヤァァァァァア!!!!」
水をかけられる、机に落書きされる、髪を切られる、殴られる、蹴られる、物を捨てられる。そんなのはほぼ毎日だ。
「誰か……助けて…」
それでも誰も助けてはくれない。
「お前の味方なんて誰もいねぇよ」
でもまだ、手を差し伸べてくれる人がいた。
「やめなさいよ!」
「……委員長」
クラスの学級委員長だ。
「…はぁ、興ざめだ。いこーぜ」
「大丈夫?」
「う、うん。ありがとう…」
たった1人だけでも、私に言葉をかけてくれることがすごく嬉しくて心の支えだった。
だけど、それが壊れたのはいつだろう。