君と、世界が変わる瞬間に。
「結局、その後親の都合で引っ越すことになったの。…隣の県にね。高校から家が遠いのは、その中学よりも遠い場所に行きたかったから。……でも、学区的にそこがギリギリ遠い場所で」
2人は何も言わずじっと私の話を聞いていた。
「瑠璃が加藤諒太のこと好きだっていうのはわかるよ。……でも、私には……応援できない。…あいつは変わってない。私が嫌がることをしてきてる……好きになるのをやめろとはいわない、でも…関わって欲しくない」
そういうと、2人は何も言わなかった。……もしかしたら私の過去が重かったのかもしれないって後悔した。でも、きっといつか話さないと行けなかったんだと思う。だから、この後のことに後悔したくない。
「……私…っ」
瑠璃にどんなに罵られようが、嫌われようが、後悔だけはしないっ。
「……最低だぁ…」
「……え…?……ちょ、なんで瑠璃…泣いてるの」
「だって空のそんな過去を知らないで、空を傷つけてきた人を好きになるなんてっ」
「瑠璃…」
「ごめんなさいっ!……私、この前空の様子がおかしいことわかってたのに!!気づけなくて。……苦しんでいたはずなのに、つらかったはずなのに……私のせいでっ」
違う……違うよ……
「瑠璃のせいじゃ…」
「私のせい!!…私があの人を好きにならなければ空はこんな思いすることなかった…」
何も言えなかった。確かにその通りかもしれない。でも、瑠璃のせいじゃない。それだけは確かだった。……けど、それをうまく言葉にできなかった。
「………2人は、どないしたいん?」
「「え?…」」
「これから、2人の」
瑠璃とのこれから……?……そんなの、当然決まってる。
「私は、瑠璃とまだ親友でいたい。これからもっと仲良くなりたい。どんな悩みも言えるような、そんな関係に」
「……私も…私も空と親友でいたい!私まだ空のこと全然知れてない!私のこと全然教えてない!」
「うん、なら……握手で仲直りや!」
握手……。……私は右手をだした。すると瑠璃も右手をだす。ギュッと握られた手が、暖かくて、なんだ恥ずかしくて。でもすごくうれしかった。
「……よし、仲直り成功やな!!」
ここに、夕凪君が居てくれて…よかった。