君と、世界が変わる瞬間に。
体育の時間が終わって、教室に戻り、次の授業の準備をしたあと。前の席の夕凪君がいないことに気がついた。
「ねぇ、夕凪君みてない?」
「あ〜あいつなら体育の途中で抜けてどっか行ったぜ」
「えぇ?」
「なんか、今すごく綺麗だからとらんもったいないわ!…とかよくわかんねぇこといってたけど」
今すごくきれいだからとらないともったいない?………写真?!!それって屋上にいるんじゃっ!
「わかった。ありがとう!」
私は急いで屋上に向かった。けど、階段の途中で足を止める。
行ってどうするの?…授業にでなよって言いに行くの?それとも…
「あ、雨野さん!いいところにおった!!」
「えっ…?」
「ちょい来て!!」
「あ、ちょ…っ」
私はグイグイ引っ張られながら階段を登った。
ーガチャー
ーブワッー
「…暑っ…」
「見てみや!!」
「…うん」
太陽の光が眩しい。
「違うわ!!空や空!」
「…なにか…違うの?」
そういうと彼は「当たり前やん!」と笑う。それを見て私は思った。…私は彼みたいに世界を見られない。…彼みたいに心が綺麗じゃない。
彼と私は、違うんだ。
「…ごめん、私もうここにはこない」