君と、世界が変わる瞬間に。

人というのは残酷な生き物だ

それから１週間、私は夕凪君と口を聞きていない。…席が前なのでプリントを配る時に振り向くのだが、私は顔を逸らしてバッと受け取ってしまう。きっと、彼からしたら感じ悪いだろう。

正直あれは完全に八つ当たりだった私が悪い。だから余計に謝りにくい。

チラッと窓の外を見ると、私の心とリンクしたかのように雨がザァーザァーと降っていた。


「キャッ」


「もうほんと、邪魔なんだけどっ！」


「のろっ」


「どいてろよ」


「地味子はすみっこ歩けっ！」


突然聞こえてきたその声はうちのクラスのものだった。…地味子と呼ばれたのは、坂口優子さん。メガネで髪をおさげにしている子。

そして、怒鳴っていたのがいわゆる、リーダー系の中野梨花さんと、合田菜子さん、内川真人くんに、脇谷聡くんだ。

これが大きくいじめに発展しなきゃいいんだけどな。

それが私の思いだった。…正直、学級委員長として止めないといけない。…でも私は、中野さん達みたいな人が苦手だ。

なんで人が傷つく言葉を平気で言えるのかわかない。どういう神経してるんだろう。…自分が世界の中心とでも思っているんだろうか。

人が傷つくことを平気で言って、やって、そういう人は世界に何万といるんだろうな。

そう思うと、人ってなんで存在してるんだろう、って思う。残酷だな。