君と、世界が変わる瞬間に。










ーガチャー



「…なんや、もう来ないんやなかったんか?」


それは私に冷たく言っているのではなく、からかっているように聞こえた。


「やっぱり…」


それで確信した。…なのに彼は「なんがや?」と知らん顔する。


「先生呼んだの、夕凪君でしょ」


「知らへんな〜」


カシャッと、写真を撮りながら知らんぷりする彼をもう問い詰める気はなかった。…だってわかったから。


「ねぇ」


「なんや〜?」




「…夕凪君は、私のこと…どう思う…?」




それいうのに相当緊張した。

けれどそれは、「私のこと好き?」とかそういう意味じゃない。ただそのまんまの意味で。


「…怖がり、平和主義、鈍感、人の顔色伺いすぎ、いろいろ溜め込みすぎ…」


言われたな。…やっぱり夕凪君にはバレていたみたいだ。

ほかの子に聞けば「いい人」っていうイメージらしいんだけどなぁ。

…聞くのが怖かった。…でも彼にはバレていて、その事実を知るのが恐ろしかった。


「…私の本質、気づかれてたね…」


しかたないよ。私はそういう人間。


「………それと…」


…え…?


「…優しすぎ」


……な…んて?…


「…ぶはっ、なんて顔してんのやっ!…ていうかそれよりも、ホームルームはじまってまうで。行かな」


それどころじゃない。…彼は私に優しすぎと言った。


「夕凪君は、やっぱり…違った」


「…?」


「…君からなら私の本質を言われても、仕方ないと思っていたけど…違った。…夕凪君は私のこと全然知らない」


「違ってへんよ。…雨野さんの1番の本質はその"優しさ"や」


違う。…そんな嘘を言わないで…っ。…私はそんな人間じゃない…


「…俺はずっとそう思ってきた」


…ずっと?


その言葉に妙に引っかかった。…彼が転校してきてからまだ少ししかたっていないはず。


「それよりも!いかへんと、古田先生怒るで!」





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