君と、世界が変わる瞬間に。
ギリギリで1回戦は突破。
「ねぇねぇ!空っ。時間あるし、男子のとこも見に行こう!」
「そうだね」
男子はサッカーとバスケと野球。私たち女子がでるバレーは第1体育館だが、バスケは第2体育館で場所が違う。野球は野球場で、サッカーはグラウンドだ。
「夕凪君野球だよねぇ〜」
「うん、それがどうかしたの?」
「ふっふふ〜んっ。じゃあ野球見に行こ〜!」
なぜか瑠璃はニヤニヤしながらそう言った。…そして数秒してからその理由に気づく。
「私別に夕凪君のこと何とも思ってないからね?!」
前、夕凪君に屋上に連れていかれた時に、瑠璃はしつこくなにがあったか聞いてきた。だからきっと何かあると怪しんでるに違いない。
そう思い必死に訂正する。
「えぇ〜本当にぃ?」
「本当だからっ!」
「つまいんないのぉ〜」
そんな事言われても、私が夕凪君を好きになるなんてないのに。…っていうか恋なんてしたこともないし、する予定もない。
「まぁいいや、とりあえず野球見に行こ!」
「うん」
結局、瑠璃は私が夕凪君を好きだと思っているのか、野球を見に行くことにしたらしい。…でも、瑠璃も本気で私が夕凪君のことを好きなんじゃないかと、言っているわけではないだろう。
だからべつにそれ以上の否定はいらないか、と思った。