君と、世界が変わる瞬間に。
「がんばれぇーー!!!」
隣で瑠璃が声を出して応援していた。…私も「がんばれー!」と声をだしてはいたが、勝ち負け自体はどうでも良かった。
そのせいか、結局バスケも負けに終わってしまった。
「あとは、野球しか残ってないね」
「そうだね。…みんな野球の方に応援行ったかも」
「じゃあ私たちも行こう!夕凪君頑張ってるよぉ〜!!」
またそれか。…呆れて逆に笑いそうになったよ。
「あ!!…やってるよ!!」
「2人とも来たんだ!」
「杏奈ちゃんっ」
「…これ決勝だって!…9回裏で今攻撃、5対4で負けてるらしい」
「負けてるんだ…」
それに、9回裏ってことはここで逆転できなかったら負けなんだ…。
夕凪君、がんばってるかな。…がんばってるよね。…彼が活躍すれば、今浮いてる彼の存在が人気者になる。
先生からの信頼のためにも、勝って欲しい!!
「…なのに……」
なんで、ちょっと寂しい気持ちになるんだろう。
ーカキーンっー
「あ!!!夕凪君打ったよ空!!!」
「えっ…?!」
空高くあがったボールは、フェンスにぶつかって観客から「オォォォォ!」という声が響いてから、勝ったんだなと気がついた。