君と、世界が変わる瞬間に。
最低な人間とわかっている
「おはよう夕凪君」
ドアをあけてすぐ挨拶をしたが、返事が返ってこない。…「なんで?」と思って近づくとすぐに理由がわかった。
「…ははっ」
彼は気持ちよさそうにその場で眠っていた。…まだ朝だが、外にいるには暑いこの季節に、屋上で寝られるなんてすごいなぁ…なんて思いながら、私も彼の横に寝っ転がる。
「…確かに、眠くなる〜」
暑い日差しと冷たい風がいい具合に肌に届き、心地よい気分になった。
「んん…あれぇ、なんで雨野さんが家におるん?」
「ここは夕凪君の家じゃなくて、学校の屋上だからだよ」
そう言うと彼はふわぁぁと、あくびしたあと「本当だ」とつぶやいて遠くを見つめた。
「ガチで寝てると、汗かくわ〜」
そりゃぁ夏に屋上で寝てればね。
「あっ!…今朝コンビニでアイス買ってきたんだ!」
私はガサガサと袋からアイスを取り出し、渡す。まだ彼は眠そうにしていて、うとうとしながらアイスを受け取った。
「おぉ〜冷たくておいしい〜。…さすが雨野さん気が利くな〜!…いくらやったぁ〜?」
「私の勝手なことだからお金はいらないよ」
「…そんなわけにはいかんよ〜」
「…じゃあ、この前の写真のお礼でいいよ」
そう言うと、彼は「ならもろうておくわ」と笑った。