君と、世界が変わる瞬間に。
「…空を見て笑えばいつか雲になって流れていく」
「…え…?」
突然言い放った夕凪君の言葉に首を傾げた。
「…俺の好き言葉や」
「なんかのことわざか何か?…でも、そんなのあったっけ?」
「…昔俺にそう教えてくれた大切な人の言葉」
大切な人…。…彼にもそんな人がいるんだ…。
「雨野さん」
そういった彼の瞳は、私を動けなくした。まっすぐに…私にむけたその瞳に飲み込まれそうだった。
「絶対助けにいくよ。だから、何かあれば俺を頼って…」
さっきとは、違う。苦しそうに、溺れるように、悲しい…そんな声。…なんでかな。…関西弁じゃないからかな?…君の言葉が、私の心に今まで以上に突き刺さった。
ー彼を信じていいの?ー
ー彼もきっと私を助けないー
ー彼は絶対と言ってくれたー
ーそんなの言葉のあやだー
ー君に助けをこいてもいいの?ー
ー誰にも気づかれないようにしてきたんでしょう?ー
私が私に口論する。
信じてみたい。けど、裏切られるのが怖い。
「うん…」
自分で自分の気持ちがわからないまま、ただそれだけを返事とした。