君と、世界が変わる瞬間に。
「…うん、あぁ〜」
…声?…なんだか聞いたことのある声…
「ーっ?!」
その声の主は、私の知っている人物。…携帯で通話中のその人は私には気づいていなくて、私はその場を動けなかった。
「うん…じゃーな」
通話を終えたその人がだんだんと私に近づいてくる。
ードクンッー
ードクンッー
心臓がすごい勢いではねる。
「あ」
ービクッ!!ー
「店員さん、301号室にオレンジ」
き、づかれなかった?…
ホッとしたら足がガクガクと震えて立っていられず、壁に背を預けズルズルと座り込む。
「…加藤…諒太…」
きっと、ずっと忘れないその名前。…私の大っ嫌いな人の名前。聞くだけで怖くて、耳を塞ぎたくなる。
『お前なんかいなくなればいいのに』
彼の言葉が頭で蘇った。…忘れようとしてたのに…やっぱり忘れられない。
お願い…消えてよ……。