君と、世界が変わる瞬間に。
【翌日】
「おはよ、雨野さん」
「夕凪君…おはよう」
珍しく教室でのあいさつ。
「…なんかあったんか?今日屋上来なかったさかい、心配したわ」
気分じゃなかった。…体がきつかった。…めんどくさかった。……キミに逢いたくなかった。
どれが理由かなんて、私にはわからない。
「ごめんね」
まだ屋上にいるはずの時間に彼が教室にいることに、私は気づかなかった。自分のことしかかんがえていなかったから。
「…雨野さん、顔色悪いわ。…保健室行ったほうがええと思う」
「ううん、大丈夫」
だから、ほうっておいて。
「……辛ろうなったら、言いや?…いったやろ、雨野さんは溜め込みすぎやて」
無神経だとイラついていた彼の言葉も、今聞いたら泣きそうになる。…心配してくれている。…そう思うのに、どうせ…と心じゃ思っていて、自分でももうなにを思っているのかわからないっ。
「…ん」
かろうじて返事をしてから、机にうつ伏せた。