君と、世界が変わる瞬間に。
…お礼を、と思っていたのに夕凪君は2時間目の授業には出ていなかった。
夕凪君は人がいい。…助けたくせに、見返りを求めない。…お礼すらもまともに言わせてくれない。
だからなのか、手を伸ばしたくなる。
ずっとずっと私はそう。誰かに救いをもとめたいくせに、裏切れるのが怖くてなにもいえない。人を見下して、人を偽って、人に優しくして、そんな…つまらない人間で。
彼といたら心地がいいくせに、彼と自分を比べてイラついて。
ーガチャー
「夕凪君」
それが嫌で、笑っていた。
「…あれ〜、もう昼休みかいな?」
「そうだよ。…夕凪君結局ずっと授業サボってたね。ダメだよ、出ないと」
「大丈夫やって〜朝は雨野さんに勉強教えてもろうとるし!」
そういう問題じゃないんだけどな。
「そういえば、1時間目…かばってくれたって聞いたよ。ありがとう」
「かばってへんよ。本当のこと言っただけやし」