君と、世界が変わる瞬間に。
「本当はね…」
先に口を開いたのは瑠璃。
「…空が走って行っちゃってから…どうしようか迷ったんだ。……でも、夕凪君に…追ってほしいって言われたの」
夕凪君に…?
「…多分、夕凪君に言われなかった私ここに来れなかった。…1歩踏み出せなかった…。…………ねぇ空……話をしよう」
「話…?」
「…ずっと思ってた。空は私のことを友達と思ってないんじゃないかって」
そういわれてギクッとなった。
「…実はね、夕凪君に追ってほしいって言われたあと…私じゃダメだって思った。…私じゃ空になんて言えばいいかわかんないって…。そしたら夕凪君は、私じゃないとダメって言ったの」
瑠璃じゃないとダメ?…
「…私は、空がどんなに私を突き放しても…ずっと空といるよ。…空が私のことを友達じゃないって言っても、私は親友だって言うよ。……空が私のことを嫌いになっても…私は絶対嫌いにならない!!」
涙がでた。…さっきとは違う涙。そう、これは…きっと、嬉しい方の涙。
本当はずっと言って欲しかったのかもしれない。…瑠璃がみたいに"私"を求めて欲しかったのかもしれない。
「…私は、絶対空のこと…裏切らない!!」
あぁ…。…もういたんだな。…こんなにも私のことを想ってくれる人が。…私のために、泣いてくれる人が。……きづかなかった。…見てなかった。
「…だからね…空……まずは…友達から…始めませんか」
そう言って伸ばしされた瑠璃の手は、微かだが震えていた。
「…嫌…」
「…っ」
私はぎゅっと瑠璃の手を握りしてめて立ち上がる。瑠璃の瞳をじっとみる。…もう、逃げない!
「親友に…なってくれないと、嫌だ!…」
裏切られるのが怖い。だけど、瑠璃は裏切らない。それがもうわかった。…だから私は瑠璃と友達じゃない関係になりたい。…一生の宝物と言えるくらいの親友に。
「…空ぁ…」
「わっ!…」
瑠璃が思いっきり私に抱きついた。…ふらつく体を左足でガッと支えて、私も瑠璃を抱きしめた。
そして2人で笑い出した。