君と、世界が変わる瞬間に。
「…ふぅ。そろそろ帰ろっかぁ」
「…ねぇ瑠璃…」
「ん?」
「どうしてそこまで私と…いてくれるの?」
瑠璃にも他に仲のいい子だっていっぱいいるだろう。
「……入学式の時に…空が言った言葉」
「私が?」
「うん。…空が入学式の日に喋ってた子が、私のことをぶりっ子って言ったの…聞こえちゃって…」
そんなこと、あったかな?
「空はね…『あの子可愛いよね、今度本当にぶりっ子か話してみよう』って言ったの。…その時は、ばかにされてるって思ってた。でもね、空と話してみたら違うってわかったの!」
「…どうして…?」
「空って、本当はすごくすごく人のために動いてる!…しゃべる相手に嫌な気持ちにならないように言葉を選んでるって気づいてね、この子すごいって思ったの。すっごく優しいなっておもったの」
優しい…?…『雨野さんは優しすぎや』…夕凪君のと言葉が私の中に蘇る。
「私はね、空といる時が1番好きなんだ」
一瞬だけパアァァっと世界が煌めいた気がした。目をこすっても、何もなくて…でも綺麗だった。キラキラ光った。
そして、思う。…あぁこれが彼の言っていた世界の素晴らしさなんだな。と。
一瞬だけだけど、その世界をみた私は…彼のその言いたいことかわかった気がした。
「…瑠璃、あのね、私ね…。…これからはもっとちゃんと、向き合おうと思う」
「うん」
それでね、いつか…私の過去も聞いてほしい。