君と、世界が変わる瞬間に。
空色に染まった部屋
「…もう6時間目終わってるね」
「そうだね」
私たちは目を赤くしたまま、歩いて学校へ戻った。
「雨野っ榎本!!」
「古田先生…」
「夕凪に聞いたぞ!…風で飛ばされた教科書を拾いに言ったんだって?!…災難だったなぁ。…けど、2時間も探しに行くほど遠くまで飛ばされてたのか?」
「…えっ…夕凪君…。あ、はいっ。飛ばされた教科書空と探しに行って無事ですっ!」
「そうか。よかった。…じゃ、今日はもうホームルーム終わったから帰っていいぞ」
また、夕凪君だ。…あんなにひどいこと言ったのに、またかばってくれた。
「…夕凪君、すごい嘘だね」
瑠璃のその言葉に思わず吹き出した。確かに、飛ばされた教科書を探しにって…!…それと同時に唇が震えてきた。
「…瑠璃、私…今日ひどいこと言ったんだ」
「…え?」
「夕凪君に」
昼休みでのことを瑠璃に話す。…瑠璃は頷きながら長い話をきいてくれた。
「…そっかぁ。…そんなことがあったんだ」
「うん…どうしよう瑠璃…」
そういうと瑠璃はクスッと笑った。「なに?」って聞くと「空が私を頼ってくれるのも、こんな空初めて見るのも嬉しくて」と笑った。
確かに、瑠璃の前じゃいい子でいたから。…だけど、今の私で嬉しいと言ってくれた。だったら、瑠璃の前では普段の私でいよう。